SCP-5080-111

SCP-5080-111

未確認の病原体であり、これに感染したものは酷い倦怠感を訴える

男女問わず、また性格や家庭環境を問わずこの症状を発症する。

〇月〇日

職員Nが無断欠勤

つい先日まで熱心に研究しており、また成果も上げていた

同僚のMが電話するも応答無し

その後3日間無断欠勤が続き不審に思った同僚Mと上司TがNの自宅を訪問。

Nは布団で寝ていたがかなり衰弱していた。会話もままならず救急車を呼び、覇気のない声で喋るNから聞き出したのは以下の通り

非常に倦怠感が強い

頭がぼんやりと痛い

布団から出るのも億劫

その他、自殺念慮や虚無感、厭世感を訴える

食事を摂っていないようで、栄養失調と脱水症状を起こしていた

血液検査、MRIレントゲンと諸々の検査を行ったが結果は全て陰性

薬物検査も陰性

強いストレスによる鬱病だと診断され精神科に移った

その後、別の研究棟の職員2人が同じ症状を訴え出社拒否

Nと同じく優秀な職員で、倦怠感を訴える。また脱水症状になりかけていた。

諸々の検査も当然陰性

人事課は事態を重く受け止め、ストレスチェックを導入。また無断欠勤があればすぐさま自宅を訪問する

しかしこの症状を訴える人間は増える一方。

試しにこの症状を訴える人間、それと接触した人間を片っ端から隔離した。すると、それ以上この症状を訴える人間は出てこなくなった。以上のことから、空気感染するウイルスだと想定された。

これらが起こった時期は乾燥する寒い日。最初に感染した職員Nが東南アジアに研究に行った帰りだったため、東南アジアまたは空港にいる誰か(或いは何か)から感染したと想定される。

職員Nは入院してから1ヶ月ほどで退院。また他の職員も次々と病状が回復した。

それ以降、この症状に罹ったものはいないが、ワクチンや薬が存在しないため予断を帰さない状態であることに変わりはない。